ミツバチはクローバーの周りを飛び
漁師はほのかに光る網をつくろう
幸せなイルカは海上にジャンプ
若いツバメは雨樋をかすめて遊び
ヘビはいつものように金色の肌
世界が終わる日
ご婦人たちは傘さして野原を歩き
飲んだくれは芝生のはずれで眠くなり
街路で
野菜売りは声を張りあげる
黄色い帆の小舟は島に近寄る
バイオリンの調べは空中に余韻となって
星の夜に流れ入る
稲妻と雷鳴を期待した輩たちは
あてが外れる
しるしと大天使のラッパを期待した輩たちは
今の時代にありうるとは信じていない
太陽と月とが天上にあるかぎり
マルハナバチがバラを訪れるかぎり
バラ色の幼児が生れるかぎり
今の時代にありうるとは誰も信じていない
ただ白髪の老人だけが、かつては預言者だったが
忙しすぎて、今は預言者ではなく
トマトを
結束しながら繰り返し言う
世界は終わりに突き当たることはないだろう
世界は終わりに突き当たることはないだろう
―― チェスワフ・ミウォシュ
Milosz, Czeslaw(1911-2004)
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